WHITE SILVER
- 2019.03.11
しんしんと真っ白な新雪が降り積もる静寂の1日、星空のように輝く白銀の世界になりました。
日本にいることを忘れさせてくれるような、ある冬の日。
雪深い山中を抜けて宿に到着した午後三時。出迎えてくれたのは、何より嬉しい暖炉の炎です。
上着を脱いで椅子に腰掛け、熱いコーヒーを啜ると、思わず和んだ安堵のひと時になりました。
部屋に荷物を置いて、今度はダイニングの奥にあるソファーから改めて外を眺めてみました。
暖かな館内に慣れてくると、凍えるような雪景色が嘘のように美しく思えてきます。
ライブラリーで見つけた本を片手に、ワインを注文してラウンジの暖炉に陣取ります。
いつしかページをめくる指を止め、緩やかに揺らぐ炎の姿に見入っていました。
早朝の誰もいない談話室。木立に降り積もった雪がいっそうの静寂を伝えてくれます。
点在する野うさぎの足跡を数えながら、一人で過ごす朝食までの静かな時間です。
くわえたバスケットに降り積もった新雪で、冬の風情を伝えてくれる犬の像。
白い頭をそっと撫でながら、次の季節に思いを巡らせました。